事業用途に使用する固定資産を取得した場合、原則としてその年度に一括して経費計上することができず、定められた年数にしたがって規則的に経費化する必要があります。
本ページでは、減価償却の概要とTaxnoteにおける登録の方法についてご紹介いたします。
※ 減価償却の処理については、お客様の固有のケースによって処理が異なる場合があります。ご不安な場合は、お近くの専門家 または 管轄の税務署へご相談ください。
目次
減価償却とは
会計のルール上、取得時の税込金額が100,000円以上のもの または 耐用年数が1年以上のものは、原則として「固定資産」という括りで取り扱う必要があります。
この固定資産は、原則として取得した年度に一括して経費計上することはできず、法定耐用年数によって規則的に経費化する必要があります。この手続きのことを「減価償却」、経費化される金額を「減価償却費」といいます。
例:事務用パソコンを購入した場合
【モデルケース】
- 1月1日:事務用パソコン1台(税込価格:240,000円)を購入した。
- 12月31日:決算のため、1月1日に購入したパソコンの減価償却費を計上する。
【減価償却の情報】
- 残存価額:ゼロ
→ 減価償却終了後に残存させる固定資産の価値のことで、本例では0円です。 - 耐用年数:4年
→ 減価償却を行う期間のことで、本例では4年(48か月)です(年度の途中で固定資産を取得した場合は、月割りで計算します)。 - 償却方法:定額法
→ 減価償却を行う方法で、本例では期間に応じて同額となる定額法です。
【減価償却費の計算】
減価償却費は次のとおり計算されます。
- [a]取得金額:240,000円
- [b]残存価額:0円
- [c]使用期間:1年(12か月)
- [d]耐用年数:4年(48か月)
- 定額法による減価償却費(([a]-[b])×[c]÷[d]):60,000円
よって、Taxnote上には取得した年度の決算日に 60,000円 が減価償却費として計上します。以後、残り3回(以後3年)にわたって同様の処理を行います。
Taxnoteでの登録方法
青色申告においては、「 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例 」(以下「少額減価償却資産の特例」といいます)を利用することができます。これにより、1つの固定資産の取得価額が30万円未満であれば、その年度の経費として計上することができます(年間限度額は最高300万円)。
ここでは、少額減価償却資産の特例を利用する場合 と 少額減価償却資産の特例を利用しない / 利用できない場合 に分けて、Taxnoteでの登録方法をご紹介します。
少額減価償却資産の特例を利用する場合
特例を利用する場合は、固定資産の取得時に任意の科目で支出取引を登録するのみで経費として計上できます。
少額減価償却資産の特例を利用しない / 利用できない場合
特例を利用しない / できない場合は、 事前準備 を行った後、 固定資産取得時の取引 と 取得した固定資産の減価償却 の2つを登録する必要があります。
※ 以下の手順では、「 例:事務用パソコンを購入した場合 」のモデルケースを例にご説明します。
- 固定資産用科目の追加:
固定資産を管理するための科目を、支出 および 収入の両方に追加します。 - 「入力」メニューの「支出」タブから、[科目を追加]をタップします。
- 科目名に任意の名称(「パソコン」など)を入力し[完了]ボタンをタップします。
- 「入力」メニューの「収入」タブから、[科目を追加]をタップします。
- 手順2と同名の科目名を入力し[完了]ボタンをタップします。
- 受け取り方法の追加:
「減価償却費」を計上するための受け取り方法を追加します。 - 「入力」メニューの「収入」タブから、[受け取り方法]をタップします。
- 画面下部の[受け取り方法を追加]をタップします。
- 科目名に「減価償却費」と入力し[完了]ボタンをタップします。
「 【事前準備】 」で追加した固定資産用科目を使用して、取得時の支出取引を登録します。
「 【事前準備】 」で追加した受け取り方法を使用して、減価償却費の収入取引を登録します。同様の取引を以後3年間にわたって計上します。
【「仕訳帳」への登録内容】
以上の取引を登録することにより、仕訳帳には次の取引が登録されます。
日付 | 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
2021年01月01日 | パソコン | 240,000 | 現金 | 240,000 |
2021年12月31日 | 減価償却費 | 60,000 | パソコン | 60,000 |
2022年12月31日(※) | 減価償却費 | 60,000 | パソコン | 60,000 |
2023年12月31日(※) | 減価償却費 | 60,000 | パソコン | 60,000 |
2024年12月31日(※) | 減価償却費 | 60,000 | パソコン | 60,000 |
※ 2022年度以降も同様に、減価償却費を計上した場合の仕訳。4年にわたって規則的に焼却されていることが確認できる。
【ご注意】減価償却費の集計仕様について
Taxnoteの損益表は収入 / 支出それぞれの金額を合計するため、「減価償却費」の合計金額も集計されてしまいます。
しかし、仕訳帳は正しく入力されるため、会計ソフトに取り込む場合などは、会計ソフト側で正しい貸借対照表が作成できますのでご安心ください。